宮城① 北村薫『空飛ぶ馬』~蔵王連峰・五色沼
山小屋の脇を抜けると眼下一望の下に雄大な風景が広がっていた。恐いような急な下り坂の先で道は蛇行している。その蛇行が大きく緩やかに巡るはるか下のくぼみに丸いグリーンの五色沼が見えた。
(北村薫「胡桃の中の鳥」より/『空飛ぶ馬』創元推理文庫収録)
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(『山形① 立石寺 ~閑けさを湛えた山上~』より続き)
東北旅行では、山形の立石寺のほかに蔵王連峰の五色沼(通称「御釜」)にも訪れました。
五色沼は蔵王連峰の中央部のもっとも標高の高いところに位置し、蔵王刈田岳、熊野岳、五色岳の3つの峰に囲まれた火山湖です。過去に幾度もの噴火を繰り返して形成され、陽の光を受けて美しいエメラルドグリーンに輝きます。季節によって、また天候によってその色合いを微妙に変えるため、この名が付けられたのだとされています。
作家・北村薫氏のデビュー作となった『空飛ぶ馬』の中にも、ここ五色沼を舞台にした「胡桃の中の鳥」という短編が収録されています。親友と蔵王に旅行に来た主人公の女子大生「わたし」が、ひょんなことから不可思議な事件に遭遇し、抜群の推理力を誇る落語家の「円紫さん」と、謎を解き明かしていきます。円紫さんの鮮やかな推理と、それによって明らかにされた残酷な真相、ストーリーの背景を彩る夏の蔵王の情景など、さまざまな魅力を併せ持った印象的な作品になっています。何気なく過ぎていく日常の中から魅力的な「謎」を紡ぎ出し、人の持つ温かさや悪意などを描き出していく北村氏の巧みな手法には、いつも驚かされます。
そんな作品世界の舞台となった五色沼を目指します。
兄の運転する車に乗り、蔵王エコーラインを通ってまずは「滝見台」を目指します。ここは不動滝、三階の滝という2つの滝が同時に見られる絶景スポットで、「日本の滝100選」にも選ばれています。写真ではどうしてもその迫力が半減してしまいますが、実際に目の当たりにすると非常に水量の多いことが分かる、堂々たる滝です。ひっきりなしに落ちていく水の音もかなり大きく、見るものを圧倒します。

滝見台を過ぎ、再び五色沼に向かいます。都会ではなかなか見られない、雄大な山の景色が流れていきます。
やがて、車は山上に到着。レストハウスを横に見て、茶色い石がごろごろと転がっている小高い坂をのぼると、突然視界に五色沼の姿が現れました。
空の青、周囲の木々の緑、湖のエメラルドグリーンのコントラストにより、まるで異世界のような光景が広がっています。風は強めで頭上を次々と雲が流れていき、陽の光が出たり遮られたりを繰り返しています。そしてそのたびに、五色沼も色合いを変えていきます。



(北村薫「胡桃の中の鳥」より/『空飛ぶ馬』創元推理文庫収録)
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(『山形① 立石寺 ~閑けさを湛えた山上~』より続き)
東北旅行では、山形の立石寺のほかに蔵王連峰の五色沼(通称「御釜」)にも訪れました。
作家・北村薫氏のデビュー作となった『空飛ぶ馬』の中にも、ここ五色沼を舞台にした「胡桃の中の鳥」という短編が収録されています。親友と蔵王に旅行に来た主人公の女子大生「わたし」が、ひょんなことから不可思議な事件に遭遇し、抜群の推理力を誇る落語家の「円紫さん」と、謎を解き明かしていきます。円紫さんの鮮やかな推理と、それによって明らかにされた残酷な真相、ストーリーの背景を彩る夏の蔵王の情景など、さまざまな魅力を併せ持った印象的な作品になっています。何気なく過ぎていく日常の中から魅力的な「謎」を紡ぎ出し、人の持つ温かさや悪意などを描き出していく北村氏の巧みな手法には、いつも驚かされます。
そんな作品世界の舞台となった五色沼を目指します。
兄の運転する車に乗り、蔵王エコーラインを通ってまずは「滝見台」を目指します。ここは不動滝、三階の滝という2つの滝が同時に見られる絶景スポットで、「日本の滝100選」にも選ばれています。写真ではどうしてもその迫力が半減してしまいますが、実際に目の当たりにすると非常に水量の多いことが分かる、堂々たる滝です。ひっきりなしに落ちていく水の音もかなり大きく、見るものを圧倒します。
滝見台を過ぎ、再び五色沼に向かいます。都会ではなかなか見られない、雄大な山の景色が流れていきます。
やがて、車は山上に到着。レストハウスを横に見て、茶色い石がごろごろと転がっている小高い坂をのぼると、突然視界に五色沼の姿が現れました。
空の青、周囲の木々の緑、湖のエメラルドグリーンのコントラストにより、まるで異世界のような光景が広がっています。風は強めで頭上を次々と雲が流れていき、陽の光が出たり遮られたりを繰り返しています。そしてそのたびに、五色沼も色合いを変えていきます。
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